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最近加湿器を買った
■近況など

今卒業制作をつくっています。今年の四月ぐらいにはアニメを作る予定でいたんですが、九月か十月くらいにゼミが変わり色々あって絵を出品する形になりそうです。その絵に必要な画材や支持体を作るために実家を行き来しています。卒業後は実家に戻ってイメージフォーラムの映像研究所でアニメを学びつつムサビもたまに通いつつどばたで教えるという感じになりそう。
この進路が決まってから何か自分の中で色々整理がつきました。所属していたゼミでの考え方は三年の時に自分に大きな影響と衝撃を与えて、その考え方は今も引きずっている感じがあるんだけど、院に行って二年間研究するのは自分の場合やめたほうが良いと結論付けました。その理由は浪人時代から持っていた空間を重視した表現に対する憧れと、それをわりと苦痛に感じてしまう自分の性質に気づいてしまったからだとでも言うというか何というか。卒業制作に来てくださった方にはそこら辺の事をじっくり話せると思います。とにかく今は作品をしっかりした形で提示しなきゃという考えでいっぱいなのですが、「完成」までたどり着けるかがびっくりするほど不安です。
卒業後はアニメとゲームとネットに没頭しつつ一年かけて短編のアニメを作りたい。

■展示

六本木クロッシング2007
自分の中で重要な存在だった作家が色々繋がったとても良い展示だった。内原恭彦の超高解像度写真、漫画評論でたびたび触れられていたけど作品を実際に見る機会がなかなかなかった立石大河亞、雑誌で図だけ見てこの銅版画は絶対見なきゃと思っていた冨谷悦子、自分が初めて「展示」というものに一人で行った時にその作品を見た田中信行など。さらに作家のポートレートを故人以外はすべて池田晶紀がやっているという色々嬉しい展示でした。
カタログと内原さんの写真集「Son of a BIT」を即決で購入。この人の写真は絶対webで観た方が現前性、価値があると思っていたのに実際紙媒体の写真集を立ち読みしたら一瞬で打ちのめされてしまった。あのweb上で発揮していた膨大な量の画像の力が見事に紙に凝縮されているというか。ある種のzip。どこを見ても心地よい。
もともとの自分の趣向にぴったり合ってるわけでなく、どちらかというと作者の考え方や制作の姿勢に惹かれていたのだけど、今回の展示と写真集で趣味的にもかなり好きになってしまった。無理やり好きにさせられてしまったというか。とにかくそんなパワーがある。

yokohama bugiee
志村さんが出品していた展示。translateの壁面展示に特化したバージョンで、作品本来の魅力が出せてないと本人や周りの人からちょくちょく聞いたのだけど、壁面に横に広がってるからこその発見が個人的にはあった。カラフルなクリップが六面のスクリーンを埋め尽くしてゆっくり滝のように落ちていく様は眼前いっぱいに広がっているからこそ見落としようがなく、映像自体を実にじっくり味わえた。
全然関係ないけど東方Projectの弾幕が織り成す美しさと一部でめちゃくちゃ似ていてそのジャンルの距離感と絵的な酷似性に一人で感動していた。

山口晃「今度は武者絵だ!」
練馬の美術館でやっていた山口晃の展示。圧倒的な画力に感動したのはもちろん「続・無残ノ介」にかなり衝撃を受けた。内容はフロア全体でドローイングや絵画を使って物語漫画を描いたもの。のろわれた刀で戦いの狂人となった主人公が次々と各地の強豪と戦い勝って行く物語なのだけど、その読み進め方がまず面白い。美術館や展覧会で順番に絵を見るとき壁沿いに鑑賞者が並んで牛歩戦術のようにゆっくり歩いていく光景がそのまま漫画を読み進めるスピードになっている。もちろん先回りして見たいところから見る事もできるのだけど。
そして一番クライマックスとなる戦いのある場面が、展示部屋にある壁の裏をぐるりと回りこんで観た瞬間に目に飛び込んでくるように設置されていて、まるで漫画のページの見開きを手繰る瞬間を空間で具現化したような見せ方になっていた。そのダイナミズムが明らかに展示だからこそできる気持ちよさになっていて、これも打ちのめされた。なんども覗き込んでしまった。
あと紙やキャンバスを使っているので当然漫画とは違ってコマの大きさが大小様々に異なるのだけど、これは普通に紙媒体の漫画を読む時に読者が自然と印象的なコマを大きく感じていたりする「人によってコマのとらえ方が異なる」というのをそのまま形にしている事になるのではないか、などとも勝手に考えた。

鈴木理策「熊野、雪、桜」
黒から白に写真の世界が移り変わる見せ方がとにかく明快でぐっときた。
だが正直この人の写真自体に惹かれる事はないんだろうなあと思って、自分の趣味性を確認して少し悲しい気分になった。

写真新世紀2007
講評を聴いてきた。
準グランプリ受賞者三人というかつてないほど微妙な結果だったけど、初めて目の辺りにした新世紀の講評は非常に面白かった。プレゼンする作家達が、同じ写真なのに全然違う考え方を苦しいほどにそれぞれ抱えているという当たり前の事に今更気づかされる。それに大して審査する人間、観る人間というのはその作者達とはまったく異なる距離から作品を見ている。それはすごく残酷なことだけど当然の事で、だけど作っているときはそのことが全くといっていいほど見えないから何度もループして恐怖を感じてしまう。しかし壇上にいる若い(全員年上だけど)写真家達はその恐怖を乗り越えている表情をしていて、無駄に胸が熱くなった。衝撃を受けるほどの作品はなかった。

■www.technorch.com
が最近とても面白い。ハードコアなDJの方のブログなんだけどネットや本の情報摂取、アウトプットのサイクルと勢いがすさまじい。こんなに面白いと感じたブログは内原恭彦以来かもしれない。
特にニコニコ動画関連のアニメやゲームの音を切り貼りして勝手に音楽っぽくした種種雑多な楽曲に対する言及が、今の自分の趣味と表現を貫いて感心を持っているピンポイントな所なのですごく惹きつけられている。音楽以外の表現、特に文学と映像に強く関心を払っているのもの良くって、その関心度具合がやや病的というか、良くそんなに見れるなと若干あきれてしまうほどだ。これで同年代なのだからびっくりする。影響されて「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」と「とてつもない日本」と「鏡家サーガ」を買って読んでしまった。

■これもテクノウチさん経由で知ったのだが、「pixiv」がとても面白い。絵に特化したmixiとでも言おうか。自分が描いた絵に対してコメントや点数やタグがつき、どんな趣味の人間がどんなタイプの絵を描いているのか、好んでいるのか、現在進行形でするするとわかってしまうので自分の好みの絵をいくらでも探せるような快感がある。萌えやエロやグロが平然とあるようにアートっぽいも絵もいくつかあるから美大生がもっとやってみたらいいんじゃないでしょーか。
ちなみにumelaboはここにいます
http://www.pixiv.net/member.php?id=35689

■こんな時期なのにかつてないほどアニメを見ている。週に5,6本。たまにチラ見するのも含めると10本はいく。おそらく一般人からしたら普通に凄い量なんだろうけど、上には上がいるもので週に30、40をこなしこなせない分は仕事の合間を縫って睡眠を削ってでも観る猛者どもが世の中にはごろごろいるのだから恐ろしいものだと思う。別にそうなりたいわけでもないしかっこいいとも思わないんだけど、そういう種類の人間が鑑賞にかけるエネルギーや力はすさまじいものだし、自分には持ち得ないレベルのものなので感心する。
だから別段アニメやゲームに触れているわけでもないのに「俺けっこうオタクなんだよね」とか「私けっこうマニアックなんだー」だとかを軽く口にする最近の風潮に少し辟易する所がある。

■今年、よく会う同年代の友人と実兄がそれぞれ結婚して子供を作った。
両組とも自分と年が近くて仕事もしているから当然色々考えてしまうと思ったが、想像以上に心から嬉しいと思うことが出来て、逆にびっくりした。人間らしいっていうのは案外重要かもしれない。
by umelabo | 2007-12-16 03:09
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